理系最難関資格とも呼ばれ、数ある国家資格の中でも指折りの難易度の高さであるのが弁理士試験です。
難関を乗り越えて弁理士試験に合格することで、知財業界への転職に繋げたり、試験勉強やその後の弁理士としてのキャリアを通じて知財実務者として大きくステップアップすることが可能となります。
弁理士試験は、高額な資格予備校を受講して個別指導を受けなくても合格ができる試験です。
ですが、教材の選び方や勉強のやり方によって合格可能性が大きく変わってきます。
私もスタディングを中心に不足している部分を工夫、試行錯誤しながら、2回の不合格を経て弁理士試験に合格しました。そこで得た様々な受験ノウハウをこれから弁理士試験に挑戦する受験生に役立てていただければと思います。

正しい方法で勉強時間を積み上げれば資格予備校に通わなくても合格できます!
このガイドでは、低予算・独学(スタディングで個別指導を受けずに学習して約15万円で合格)で弁理士試験に合格した私が、弁理士試験に挑戦することを考えている初心者向けに、何から始めればいいのかを解説していきます。
弁理士試験の全体像・難易度・勉強時間をチェック!

まずは、「自分でも挑戦できそうか」を判断するために弁理士試験の全体像をチェックします。
試験は短答式・論文式・口述の3つ!
弁理士試験は下記のように3つの試験から構成されており、最後の口述試験に合格して晴れて最終合格になります。
- 短答式試験(5月・マークシート式・合格率およそ10%)
- 論文式試験(7月・記述式・合格率およそ25%)
- 口述試験(10月・面接形式・合格率およそ90%)
また、短答式試験と論文式試験は合格すると2年間受験が免除される免除制度もあります。とはいえ、理系最難関資格と呼ばれるだけあって最終合格率10%以下の難関資格であることに変わりはありません。

私の例では、3回目の受験で合格(1回目短答不合格、2回目短答合格・論文不合格、3回目短答免除・論文及び口述合格)し、勉強期間は約3年、アプリで記録した総勉強時間は約2500時間でした!
誰でも受験できて何度でも挑戦できる!
弁理士試験は年齢や学歴、職歴に関わらず誰でも受験することができます。学生から高齢者まで受験者の年齢層は幅広いです。
さらに、学歴の要件もないので、理系最難関資格である弁理士資格を取得することで学歴コンプレックスや学歴の壁を乗り越えることもできます。
また、受験回数や年齢制限もないため何度でも挑戦することができます。

誰でも受験できる=誰でも合格できるわけではありません。
ただし、誰でも受験できるとはいえ記憶力や体力がある30代前半までで、論文の選択科目が免除される理工系の修士卒以上が圧倒的に有利であると考えます。さらに、何度でも受験できるとはいえ、何度も落ち続けるとモチベーションも時間も削られ続けてどんどん合格しづらくなるので短期合格を目指すべきです。
弁理士試験の難易度と必要な勉強時間
一般的な話をすると、弁理士試験の最終合格率は6%前後で推移しており、数ある国家資格の中でも司法書士や公認会計士などと並ぶ難関資格となっています。
各資格予備校の分析による総勉強時間は2000~3000時間と言われており、私の例(2500時間)と一致しているので、天才でない普通の人はこれくらいかかると考えてよいです。
平日は仕事が終わって約3時間勉強し、休日は約8時間勉強するという生活が約3年も続くわけですから時間・体力・精神的負荷はかなりのものですので挑戦には相応の覚悟が必要です。
したがって、弁理士試験に合格したい目的と受験にかかる負担とを秤にかけて、受験するか否かを判断する必要があります。
合格までのロードマップ|全体図
まずは、合格までのロードマップの全体図を示します。
| ステップ | やるべきこと | 到達目標 |
|---|---|---|
| STEP①|準備 | 受験目的・講座・学習時間を決める | 迷いなく学習を始められる状態にする |
| STEP②|基礎学習 | ・講座を1周 ・短答過去問と講座・条文の復習の繰り返し ・論文式試験の作法の確認・写経 | 各法律・制度の基礎を習得する |
| STEP③|短答対策(3月~) | 短答過去問、短答模試、条文の読み込み | 短答式試験に合格できるレベルまで引き上げる |
| STEP④|論文対策(短答式試験後~) | 論文過去問、答練、必要事項の暗記 | 論文式試験に合格できるレベルに到達する |
| STEP⑤|口述対策(論文式試験後~) | 模擬練習、知識の補強 | 最終合格する |
弁理士試験の試験範囲は膨大で覚えることが多いので、一度の学習で覚えることはまず無理です。覚えたとしても次のセクションの学習に進むとあっというまに忘れてしまうのは当たり前です。

1周を念入りにやるよりも、ほどほどの学習で何周も回す方がずっと効果的です。
したがって、
「過去問や模試でアウトプットする」
「わからない・苦手なところを見つける」
「講座や条文に戻って復習(インプット)する」
を何度もグルグル回しながら知識を定着させていくことが学習のポイントとなります。
STEP①|準備
なぜ弁理士試験に合格したいのか目的をはっきりさせる
まず初めにすべきは、弁理士試験に合格する目的をはっきりさせることです。目的は人それぞれで何でもよいと思いますが、強い目的意識を持つことが大事です。
弁理士試験に合格するには昔ほど費用はかからないとしても2000~3000時間の勉強時間は必要で、自分自身や家族にかなりの負担がかかります。

弁理士試験は長い闘いになるので、資格を取ってどうなりたいのかまで考えることが大事です。
そのため、目的がはっきりしていないと過酷な受験生生活のモチベーションを保つことができずに途中で挫折してしまったり、せっかく合格しても資格を活かすことができす、勉強につぎ込んだ費用と時間を無駄にしてしまいます。
例えば、考え付くだけで以下のような目的が考えられます。別に立派な目的を持つ必要はなく、不純な目的であっても自分自身のモチベーションになれば全然よいと思います。
- 知的財産の専門家として会社の看板に頼らずに社会に認められたい(私の場合)
- リモートワークで場所や時間に縛られない働き方がしたい
- 実力主義の環境(特許事務所)で若いうちから稼ぎたい
- 僻地勤務から脱出して都心のきれいなオフィスで働きたい
- 難関資格を取ることで学歴コンプレックスを克服したい

また、弁理士試験に合格することで、本当にその目的が達成できるのかを考える上でも弁理士のキャリアについても十分に情報収集しておきましょう。
そもそも弁理士とは、知的財産に関する特許庁への手続きの代理をするための業務独占資格で、代理人業務を行う特許事務所においてその資格が最大限生かされます。
一方で、企業知財部は代理をするわけではないので、弁理士資格は必須ではないのですが、特許法などの法律や制度を体系的かつ網羅的に学習した経験や弁理士として得られる経験・人脈はキャリアアップに大いに貢献してくれるはずです。
一方で、弁理士試験への挑戦には様々なデメリットも存在します。これらのデメリットも包み隠さずに記事にしているので、デメリットも理解した上で総合的に考えて弁理士試験にチャレンジするか判断いただけたらと思います。
受講する講座を決めて学習計画を立てる
いくら個別指導を受けずに独学で合格を目指すとしても、初学者が書店に置いてあるテキストだけで合格するのは不可能に近いです。そこで、資格予備校や完全オンライン講座といった資格講座を使う必要があります。
どれがおすすめかについて結論を言えば、「予算に制約がないのであれば高価であるが合格実績豊富な大手資格予備校のLEC(東京リーガルマインド)やTAC」になります。
しかし、誰しもが弁理士試験に50万円以上もポンと出せるわけではないので、予算に応じて受講できるものを選びましょう。学習ペースや合格までの期間に差があるもののどの講座でも合格することは可能です。

私は、業界最安値であるものの基本的に個別指導やサポートがないスタディングで合格しました。当サイトでは安価な講座で合格するためのノウハウを色々紹介しているので参考にしてください!
| 受験期間 | 受講方法 | 代表コース | 料金(税込) | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| LEC | 通学・通信 | 1年合格ベーシックコース | 515,000円 | 非公表 |
| TAC | 通学・通信 | 1.5年本科生 | 451,000円 | 非公表 |
| 資格スクエア | 通信(完全オンライン) | 基礎・短答・論文パック民法付きプラン | 335,500円 | 38.5% |
| アガルート | 通信(完全オンライン) | 総合カリキュラム(民法オプションあり) | 215,820円 | 27.08% |
| スタディング | 通信(完全オンライン) | 基礎・短答・論文総合コース | 99,000円 | 非公表 |
また、細かな学習スケジュールを立てる必要はありませんが、合格を目指す短答式試験までの期間がどれくらいで、1日あたりどれくらい勉強するのかおおよその計画は立てておきましょう。
私の場合は10月に勉強を始めて、平日2~3時間、休日は5~6時間勉強して翌年5月の短答式試験に挑むというスケジュール感で臨みました。

実際に勉強を進めてみて、時間当たりの進み具合をみて計画にフィードバックしていきましょう!
細かなスケジュールを立ててもどうせ計画通りにはならないですし、勉強を始めてみないとペースもわからないので、おおよその計画で早く走り始めた方がいいと考えます。
働きながら勉強を続ける仕組みを作る
弁理士試験の勉強は仕事と両立しながら進めることになりますので、限られた時間でできるだけ効率よく進めて、短期合格を目指したいところです。また、モチベーションを維持しながら学習を進めるためには工夫が必要です。
私が社会人として働きながら大学受験や弁理士試験に合格して得た勉強のテクニックを別の記事で解説します。
STEP②|基礎学習
講座をとにかく速く1周して出題範囲の全体像をつかむ

受講する講座を決めたら、とにかく講座を1周してみましょう。

一周目は出題範囲の全体像をつかむことを目標にして、細かなところにこだわらないようにしましょう。
弁理士試験の出題範囲を大別すると以下の通りです。
スタディング弁理士講座を平日2~3時間、休日は5~6時間のペースで受講した場合で、10月から翌年の2月までの4か月程度かかったので、講座を一周して出題範囲の全体像をつかむだけでなかなかのボリュームです。
- 特許法
- 実用新案法
- 意匠法
- 商標法
- 条約
- 著作権法
- 不正競争防止法
1回で完璧に理解して覚えるなんて絶対無理ですので、わからないところはスルーしてとにかく最初の1周目を終わらせてしまいましょう。
スタディングの場合はビデオ講義でのインプットの後に過去問演習でアウトプットするというカリキュラムなので、インプットとアウトプットのバランスが担保されています。そのため、始めのうちは他の教材に手を出す必要はありません。
短答過去問によるアウトプットと講座・条文の復習によるインプットを繰り返す
講座を1周したら、いきなり市販の短答過去問集に取り組みます。
とはいえ、講座を1周しただけではわからない問題が圧倒的に多いと思いますが、講座の関連する箇所の復習と合わせて進めていきます。
また、講座を復習するときに関連する条文を四法対照で確認して、必要に応じて書き込みやマーカー引きを行います。
弁理士試験は条文の試験といっても過言ではありません。過去問や講座も大事ですが条文から離れないということを常に頭の片隅に置いておきましょう。

漆の重ね塗りのように何度も繰り返すことで知識を定着させることが大事です!
理想としては、短答過去問の潰し込みを資格予備校の模試が始まってくる3月に入るまでに完了させておきたいです。
- 短答過去問集を1問ずつ解いて、1問解くごとに解説を読んで答え合わせをする
- 過去問集のチェック欄に、理解して解けていたなら〇、なんとなく理解して解けていたなら△、わからなかったりたまたま正解だったのなら×をつける
- 理解ができていないところを講座や四法対象に戻って復習する
- ×と△がなくなるまで過去問集と講座と条文の復習を繰り返す
ここで言いたいことは、過去問や模試でのアウトプットが先で、わからなかったり何度も間違えるところを中心に何度も講座や条文の復習(再インプット)を繰り返していくことが大事だということです(短答も論文も口述も同じです)。

条文に関する基礎力をしっかりと身に着けてください。
講座を1周しただけでは当然知識は定着していないですし、すぐに忘れてしまうのでこのステップで知識を確かなものにしていきます。このステップで弁理士試験合格に必要な基礎力(特に条文の知識)を鍛えていきます。
論文式試験の作法の確認と過去問の写経
短答過去問と復習を1、2周くらいして知識が増えてきたら、論文式試験の学習のさわりの部分(論文式試験の作法の確認と過去問の写経)をやっておきましょう。
論文式試験がどんなもので何が問われるのかを知っておいた方が、論文式試験も意識しながら基礎学習や短答式試験の学習を進めることができるので短答式試験と論文式試験との相乗効果が得られるためです。

論文式試験でも短答の知識が重要となってきます。
しかしながら、注意すべきは短答式試験を突破するというのは想像する以上に難しいことです。
この段階で論文式試験の学習に深入りすると短答対策が疎かになって短答すら合格できないということになるので、過去問10年分を写経してみて全体像が掴むくらいにしておいた方がよいと考えます。
STEP③|短答対策
3月に入って春になるといよいよ弁理士試験シーズンのスタートです。これまでの学習で短答過去問は一通り理解した上で解けるようになってきているはずです。
資格予備校(LEC及びTAC)の短答模試が始まってきますので、模試はできるだけ受けて実力を確認します。基礎学習をしっかり進めると30点までは順調に上がってくるのですが、30点台に入ってから合格基準点の39点を超えるのが本当に難しいです。
ここは、苦しいところですが、これまでの学習を繰り返しつつ、それに加えて条文(四法対照)の読み込みをして必要な条文の知識の抜け漏れを徹底的に無くしていくしかありません。
ここでポイントなのは、短答過去問に受験生の正答率があるので正答率の高い問題と関連する内容を落とさないようにして、受験生の多くがわからないマニアックな知識に時間を使わないようにメリハリをつけることです。
STEP④|論文対策
短答式試験は自己採点することで当日には結果がわかるので合格の可能性があるのであれば、論文式試験まで1か月ちょっとしかありません。
この1か月で論文式試験にストレート合格できるのは一部の天才であって、正直普通の人には難しいのですが、「来年は短答免除になるし今年はほどほどでいいや」と手を抜くのは絶対にやめておきましょう。
まずは、目の前の論文式試験に全力を尽くした上で、来年に向けて地道に訓練を重ねていきましょう。
論文のポイント・作法を確認
各講座の論文パートで説明されているので詳細は省略しますが、私が論文試験を振り返って重要だと思うことを列挙します。論文対策においては特にこれらを意識するようにしましょう。
- 法的三段論法(規範定立・あてはめ・結論)に沿って書く
- 論文を書く前に答案構成をして正しい結論を導く
- 余計なことや不確かなことはかかない
- 問題文の見落とし(地雷)に注意
論文講座と演習問題に取り組む
いきなり過去問に取り組んでも白紙の答案用紙を前に途方に暮れるだけなので、各講座の論文パートから順番に学習を進めていきます。
スタディングの場合ですと、講義とあわせて、過去問を分解した小さな演習問題が用意されているのでそこから始めると取り組みやすいです。
過去問と答練に取り組む
スタディングの場合ですと講座とその演習問題のボリュームはそこまでないので講座を一通りしたら、さっそく過去問に取り組んでいきます。
詳しい学習方法やポイントはここでは書ききれないので、別の記事で詳しく解説します。
STEP⑤|口述対策
最終関門の口述対策ですが、はっきり言って論文試験後から対策をはじめて十二分に間に合いますので、論文式試験が終わってから考えはじめればよいです。
とはいえ、論文合格発表後からはじめると厳しいので、論文試験後から合格発表までの2か月半の間に口述テキストに目を通すくらいはしておきましょう。
合格後のキャリアについて考えて行動する

弁理士試験の勉強を進めていくと知財に関する理解が深まっていくと共に、落ちたとしても試験に挑戦したという既成事実によってキャリアを変えるチャンスが巡ってくることもあります。
実際に私は1回目の受験が短答落ちに終わりましたが、弁理士試験合格への意欲をアピールして未経験から特許事務所に転職することができキャリアが大きく変わりました。

弁理士試験に挑戦して何らかの結果が出たタイミングで転職やキャリアについて考えてみましょう。
めでたく弁理士試験に合格しても今後の仕事で資格を活かしきれなければ意味がありません。
特許事務所や企業知財部といった弁理士資格を活かすための環境へ移るためのノウハウを色々紹介していますので試験勉強と並行してキャリアについても考えて行動してみましょう。
まとめ
基礎学習~口述対策までのロードマップをしましましたが、いずれにおいても重要なことは以下です。
- 一度で覚えることは無理なので、何度も繰り返して知識として定着させる
- 弁理士試験は条文の試験なので条文から離れない
- アウトプットが先で、わからない・間違えたところを講座や条文に戻って復習(再インプット)する
弁理士試験に合格することは簡単なことではなく、努力と忍耐は当然必要です。しかし、資格予備校に何十万円、時には100万円以上つぎ込むようなことをしなくても合格できるということを当サイトで示すことで、金銭的に大金を払えないという人が弁理士を目指すことを諦めなくて済むようになれば幸いです。
弁理士試験の勉強を始める人におすすめの記事
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